いきなり意識高めな発言から始まった本記事へようこそ。
そう平然と言い放つのは『氷菓』の主人公である『折木 奉太郎(おれき ほうたろう)』くんです。
彼の掲げるモットーは『省エネ主義』。まだ高校生ですよ?達観しすぎでしょ。
しかし、私が高校生の時ならまだしも、いい歳を重ねた今、『省エネ主義』ってのも理想的な生き方だよなと思い始めたのも事実です。
本記事は、「やらなくてもいいことならやらない。やらなければいけないことは手短に」という言葉について、思うことや私なりの考えを述べたいと思います。
起源となった作品『氷菓』
さて、みなさんは『氷菓』という作品をご存知でしょうか。
省エネを信条とする高校一年生、折木奉太郎は、ひょんなことから廃部寸前のクラブ「古典部」に入部することに。
「古典部」で出会った好奇心旺盛なヒロイン、千反田える、中学からの腐れ縁、伊原摩耶花と福部里志。
彼ら4人が神山高校を舞台に、数々の事件を推理していく青春学園ミステリ。「わたし、気になります!」
奉太郎の安穏とした灰色の高校生活は、
この一言で一変してしまった!!
著:米澤穂信(@honobu_yonezawa)先生による小説。通称『古典部シリーズ』と呼ばれるシリーズ物で、第一刊のタイトルである『氷菓』を用い、2012年に京都アニメーションによりアニメ化がされました。
京アニのお家芸である「面白そうな小説をアニメにしてみました」シリーズの一つです。TVアニメから本作を知った人も多いのではないでしょうか。私もアニメから知りました。
ただ、アニメももちろん面白いのですが、原作小説がめちゃくちゃ面白いです。
- 『氷菓』
- 『愚者のエンドロール』
- 『クドリャフカの順番』
- 『遠回りする雛』
- 『二人の距離の概算』
- 『いまさら翼と言われても』
主人公『折木 奉太郎』の人物像
ーー高校生活と言えば薔薇色。薔薇色と言えば高校生活。
そんな青春真っ只中な高校生たちを描いたさわやかな作品・・・になるかと思いきや、必要最低限な行動しかしない「とんでもなくバイタリティに欠けた」青年である「折木 奉太郎(おれき ほうたろう)」くんを主人公に物語が進行します。
彼は常にやる気がないぐうたらな青年というわけでもなく、あくまで「省エネ主義」をうたっています。「できないからやらない」じゃなく、「必要ないからやらない」んです。そう、つまり人間スペックは高いんですよ。動いたらすごいんですよ。脱いだらすごいみたいな?
そんな彼の「薔薇色ではない高校生活」を脅かす『千反田 える(ちたんだ える)』というヒロインがいるのですが、本記事では割愛します。
えるたそ~
「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に」
さて本題です。冒頭の彼の発言を改めて見てみましょう。
「二回も俺を吹き出しに使うな」という奉太郎くんのボヤキが聞こえてきそうです(笑)
言葉自体がシンプルなので、シンプルな要素を過剰書きしてみました。
「やらなくてもいいことなら、やらない」
- やらなくていいのが確定している→やらない。
- やらなくちゃだめだけど必須ではない→確定するまでやらない。
- やるかやらないか迷っている→今必要ないならやらない。
「やらなければいけないことは手短に」
- やらなくちゃいけないこと→さっさとすませる
どちらもビックリするくらいシンプルな言葉ですね。もはや言葉自体を考察することに意味がないと思います。
私的解釈すると、この言葉の伝えたいメッセージはこうです!
「必要最低限のタスクだけこなせ!」→「そのタスクから無駄を省け」
軍隊か何かですかね?(笑)
でも、そもそもなんのために「無駄を省く」必要があるのでしょうか?
「無駄を省く理由」
日々生活する上で、絶対に必要なことは多くあります。
食事・睡眠などの「生命維持」に必要な要素。
その「生命維持」をするために必要なお金を稼ぐための「労働」。
これらは、「やらなければいけないこと」に分類され、「やらなくてもいいこと」に分類するのは基本的には不可能です。(「現実的ではない」と言う方が正しいかもしれませんが。)
では、その「やらなければいけないこと」を手短にする必要は、本当にあるのでしょうか。
別にダラダラしたっていいじゃないですか?
無駄を「省いた」先にあるものは人それぞれ
そう、ミソはここです。「無駄を省く理由」によって、言葉の捉え方が変わってくるのです。
欲求を満たすために「省く」
「夢」や「目標」を叶えるために無駄を削ぎ落し、そのことに集中するのはごく自然な流れです。「欲しいゲームを買いたい」、「ソシャゲに課金したい」、「友達と旅行に行きたい」などの小さな欲にも無駄を省くメリットがあります。
つまり、「目的に沿った行動以外は省く対象」になりうるということですね。殆どの人が当てはまるのではないでしょうか。
「省かない」は限度がある
何をやるにも全力を出す人いますよね。なにも考えずに済みますし、ある意味これが「究極の理想」かもしれません。
でも、使えるエネルギー量には限度があります。そのエネルギー量を超えたとき、「人は疲れてしまう」んですよね。人って弱い生き物ですね…
ゆとりある生活のために「省く」
奉太郎がここです。省くことに意味がないとは言いませんが、「省いても省かなくてもどっちでもいい」に分類されるタイプです。
一見無気力でつまらない人生に思えるかもしれませんが、私は「これが一番幸せな生き方」なのではと思います。
「人生はマラソン」という例えが有名ですが、しっくり来る表現だと思います。欲にまみれていようが、無欲だろうが、何をやるにも「ペース配分が大事」という話です。
結論:人それぞれ違うから「省く」ことに正解はない。
省エネに生きることは確かに効率的で、人の営みとしては健全かもしれません。ただ、それが全てだとは思いません。
なぜなら、どんなに意識したって、次の日には考えが変わっているかもしれないじゃないですか。明日のことは自分自身でもわからないですからね。
ーー
作中で一番好きなポニテえるたそ。
今回は一つの言葉にフォーカスを当てての紹介記事となりましたが、『古典部シリーズ』は名言揃いです。ぜひ気になった人はアニメ、小説を手に取ってみてください。
えるたそと一緒に部活動したい人生だった。←これ言いたかっただけ
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